ファジアーノ岡山代表の木村さんが日経でコラムを連載していて読むのを楽しみにしている。

 「嫌な思いをさせない」日本経済新聞2014・6・24スポーツ欄コラムから一部抜粋。

 ファジアーノ岡山は08年にJFL入りしてから有料試合ができるようになった。それまで岡山には、お金を払ってスポーツを見る文化がなかったのだと思う。

 入場料を取って試合に来てもらうのは簡単なことではない。「もっと勝たんと見に行かんで」とよく言われる。しかし、勝てば必ずお客さんが増えるというものではない。今季、14位で迎えた5月6日と、9位で迎えた同18日は入場者が1万人を超えたのに、2連勝で7位まで上がっていた同24日は7290人しか集まらなかった。

 もちろん、強いほうがいいに決まっている。しかし、いつも勝てるわけではない。だから、勝てなくてもお客さんに来てもらえるクラブにしなくてはならない。

 そのために何をするのか。バカげているかもしれないが、試合前のスタッフミーティングで笑顔のチェックをしている。試合中にむすっとした顔をしていると、インカムで「◎◎君、笑顔!」と注意が飛ぶ。

 プロの興行に大切なのは何かというと、答えはホスピタリティーにいきつく。ホスピタリティーとは特別のサービスを指すわけではなく、ファジアーノでは「お客さんに嫌な思いをさせないこと」と定義づけている。

「ワールドカップが開催されているので、Jリーグもお客さんが増えますね」と言われる。だが、韓国と共催した02年は別にして、06年も10年もワールドカップの効果はなかった。お客さんに嫌な思いをさせず、まだ足を運んでいただくための努力を重ねていくしかない。